自分自身への勇気づけ (アドラー心理学に学ぶ)

アドラー心理学では、人生で出会う様々な対人関係上の困難を克服するために、「勇気づけ」をおもな技法として使います。重要な価値観として「仲間との間の”つながりや絆の感覚”」だと言っています。

日々生活していく中で、対人関係に悩むことは多い。適切な「勇気づけ」ができればさぞいい人生が過ごせるだろうと思うことはしばしばある。仲間と絆を深め、あらゆる困難に共に立ち向かえたらと。

しかし、現実の世界ではなかなかうまくはいかない。原因として「人間は自分流の主観的な意味づけを通して物事を把握する」つまり、人が事実をありのままに物事を客観的に把握することは不可能とする立場であるからだ。自分流の主観的な意味づけにより歪んだものの見方をし、時として非生産的(破壊的)な思考に陥り、自分自身も生きにくく、周囲との間でも摩擦を生じてしまう。人は事実をそのまま受け入れず、思い込みの世界に生きているとも言える。

「会社で認められたい」「仕事ができるようになりたい」と思いながら、同期や部下に先に昇進されふてくされている自分がいる。最初の目的はなんであったのか。本来ならば、会社で認められたいなら、同僚や部下、上司と共通の目標を持ち共に達成を喜ぶべきである。仕事が出来るようになる事が目的でであるなら、同僚に勝つことに執着しているのは的外れである。そうと解っていても心がついていかない。

こういった思考陥る要因として、アドラー心理学では「原因論」で物事を捉えがちであると説明しています。問題の根源を「変えられない過去」に求め、その影響が現在まで自分に影響を与えていると感じ、上手くいっていない場合、自分自信を環境の被害者・犠牲者のようにみなし、自分で自分の勇気をくじいてしまいがちです。自己肯定感が低く、周囲の人を信頼していない傾向にある人に見られがちです。

自己肯定感を高め、自分自身を勇気づけるためにアドラー心理学の研究者でモントリリオール個人心理学研究所理事長のジョセフ・ペルグリーノ博士は10つの文章を日に何度も唱えることを薦めています。その中で私が気に入っている3つの文書をご紹介します。

1. 私は、ユニークで、有能な人間だ。生活上の行動について自分で解決できる。
2. 私は、ポジティブな特性を認識でき、それらに焦点を当てることができる。
3. 私は、過ち、間違い、失敗を学びと成長を得る可能性だと受け止める。

自分自身を勇気づけるには、言葉とイメージと行動を勇気づけで満たしきることです。具体的には、①自分自身や他者にプラスの言葉をはっきりと使う。②マイナスのイメージが入り込む余地がないくらポジティブをイメージする。③言葉とプラスイメージしながら、時には見切り発車で実行する。

多様化し目まぐるしく変化する価値観の世界の解決を自分自身に委ね、正しい自己決定できるよう、勇気を持っていきたい。

参考書「マンガでやさしくわかるアドラー心理学」著 岩井俊憲